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いろんなピアノに会ってきた話

6月末に、いつも来てもらっているピアノの調律師さんが所属する会社のピアノのコンサートとセミナーへ行ってきました。

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HPではもうスケジュールが見れなくなってますが、午前中は工房と茶論(サロン)にあるいろいろなピアノを、ピアノに合った曲とともに紹介するコンサートで、お昼は茶論でランチをいただき、 午後は調律師さんによるピアノのセミナー(ピアノ調律師 荒木欣一のブログ「タローネの世界」)という流れでした。3,4ヶ月に1回やってるそうです。調律師さんとは3年前ぐらいからのお付き合いですが、今回初めて参加しました。

あ、次回の予定が出てますね。11月末のようです。誰でも参加可能ですので、気になる方はどぞ。

時代を語るピアノの響き

ピアノ工房セミナー・レクチャー

そこで聞いたピアノのそれぞれの音の違いや写真をずらっと並べようかと思ってたのですが、私はどちらかというと弾く側の人間なので、自分が触ってみて印象に残ったところをここで書こうと思います。

 

まず、もうこれだけでお腹いっぱいというぐらい強烈な出会いだったのが、こちらのピアノ。ベヒシュタインのアップライトピアノ、1889年製。ベヒシュタインさんがまだ生きている時代の125年も前のピアノです。

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宮内庁御用達だったようですが、それだけではない、このピアノ自体の存在感がすごかったんです。茶論のほうに置いてあったのですが、部屋に入って見た瞬間、只者ではないと思いました。思わず「付喪神」という言葉が頭に浮かぶぐらい、存在感のあるピアノだったんです。私はよく物を擬人化して「この子」と言ったりすることはあるんですが、このピアノに限っては「こちらの方」みたいな、日本語て目上の方を呼ぶ言葉がないですから、恐れ多い気すらしました。

ランチの後、恐れ多くも、そのピアノで1曲弾かせていただきました。ショパンの「子犬のワルツ」。曲は何でもよかったんですけど、それしか暗譜してなかったので。

まあ、何というか、まず、ピアノの正面に向かって座ることすら気が引けました。それで、軽く試弾するつもりで弾き始めたんですが、ダメなんですね、それじゃ。ピアノに鼻で笑われてる気がして。ホントに(笑)

で、それならと思って、弾きながら座り直して、腰を入れ、体に芯を通し、下腹に気合いを入れて、本気モードにしたんですね。そしたら、ピアノが応えるんですよ。自分がこう弾きたいと思ってる通りの表現をものすごい高い精度で絶妙に拾ってくれるんです。

自分がうまくなったような気がするピアノていうのはあるんですけど、うまくなるのではなく、表現したいものがそのまま表現できるピアノて初めてで、言い換えれば、弾く人の技量が問われるピアノではあるんですけど、このピアノが弾けるようになったらどんなにすごいだろうて、弾きながら鳥肌が立つようでした。今でもその瞬間を思い出したら、体の中がぞわぞわします。

弾き終わってからもしばらく興奮冷めあらずで、何だかどこか違う世界に行ってたような、ふわふわした感じがしてて、弾くのを聞いてくださってたピアノマニアの常連さんにそんな感想を伝えたら、「すごいピアノてそうなんですよね」てにこにこされてました。世の中にはまだまだ知らない世界がいっぱいあるみたいです。

 

知らない世界と言えば、茶論には昔の鍵盤楽器がありました。(詳しくはこちら。うたまくら所蔵楽器

その中で一番気に入ったのが、クラヴィコードです。クラヴィコードが弾けるところって、そうそうないんじゃないでしょうか。

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生の音を初めて聞きましたが、可憐という言葉がすごく似合うなと思いました。構造的に小さい音しか出ないんですけど、可愛さの中に個性があり、情緒を感じさせるような印象で、これも聞いてるとどこか違う世界に行けそうな気がしました(笑)バッハはチェンバロよりクラヴィコードのほうが好きだったそうですけど、私もそう思います!

音が気に入ったので、そんなに大きくないし構造もシンプルだし、もしかして作れるかも???と思って帰ってググってみたら、キットもあるし作ってる人もいました(笑)金額も手が出せない範囲ではなかったのですが、作り方を見てると削ったり貼ったり乾かしたり塗装したり、ちょっと今の家じゃ無理だなと思って諦めました・・・。電子工作とはワケが違いますからね。

 

こちらは工房の様子です。置いてあるピアノは全部販売してるものだそうなので、時期によってあるものが違うんだそうです。写真の3台のグランドピアノのうち2台(左奥はベヒシュタイン、右奥はスタンウェイ)は引き取り手がついてるらしく、最初で最後の出会いです。

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幸い?今回あった3台のグランドピアノの中で一番気に入ったのは、手前にあったメイソン&ハムリンでした。

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午前中のコンサートのとき、このピアノは自分の表現したいものを表現できるピアノだと紹介されていたんですけど、確かにそうなんですけど、125歳のベヒシュタインさんを弾いたあとだと、印象が薄かったです。このピアノも100歳なんで、たいがい古いピアノなんですけどね。

コンサートで音を聞いただけではあまり感じなかったのですが、弾いてみて何というか、仲良くなれそうな気がしました。変に威圧感を感じることがなく、表現したいことが表現できて、弾きながらこんな弾き方、あんな弾き方といろいろピアノに相談できそうだなと。このピアノで毎日練習できたらいいな思ったんですけど、とても買えるようなお値段ではなかったで、妄想だけしておきました(笑)

 

あとは、見た目で印象に残ったものをちょっとだけご紹介。

こちらはザイラーさん。年代は忘れましたが、どこかの小学校で廃棄寸前だったのを、さきほどのピアノマニアの方が拾って来られたそうです。鍵盤のフタの内側、綺麗な木目が出てますよね。これ、元々は周辺と同じ黒い塗装だったんだそうです。

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天板には、こんなふうに「このピアノはすごいんだぞ」的な勲章やらがあって、こちらは元々木目のままだったらしいんですけど、きっといい板を使ってるだろうから塗装を剥いでみようてことになって、削ってみたらやっぱりきれいな木目が出てきた、ということらしいです。昔のピアノに使われている木がいいていうのはもちろんなんですが、塗装を削ってしまおうという発想がすごいなと(笑)でも、ピアノをこんなふうに塗装剥いで手を入れたりして、すごくおしゃれですよね。

このザイラーさんは低音がステキで、ベートーベンの曲とか似合いそうと思いました。

これに限らず、こちらの工房はどんなピアノでも復活させてしまうようで、そういえば大正時代のYAMAHAアップライトピアノもありました。すごく懐かしい音でしたよ。

で、直接紹介はされなかったですけど、やっぱりこういうものもあって、写真だけ撮ってきました。上はグランドピアノの構造、下はアップライトピアノの構造です。ウチにもいっこ欲しいとか思いましたが、本物のアップライトピアノがあるやんと思い直しました(笑)ただ、電子工作はしますけど、ピアノは分解しないですね。板重いし。

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こんな感じで、ステキな出会いがあった一日でした。今まで弾くばっかりでしたけど、ピアノそのものにもちょっと興味がわいてきて、他にもいろんなピアノに会いたいなと思ったのでした。